第2章 雨の金曜日【文スト太/宰/治】
探偵社からしばらく走り、太宰さん宅に到着。
全力疾走したものの、ずぶ濡れは免れず……
「びしゃびしゃになったね」
『そうですね……』
「まぁいいか、上がって。」
そう言いながら部屋のドアを開ける太宰さん。
なんだかんだ言いながらレディファーストするところは褒めてあげよう。
自殺マニアなダメ人間だけど……←
『お邪魔します。』
と一言告げてからパンプスを脱ぎ、部屋に上がろうとする。
そして太宰さんが玄関の扉を閉めた音を背中で聞いた直後、後ろからぎゅっ……と抱きしめられた。
『なっ!太宰さん?!』
「全く、君は無防備だねぇ……」
『何変な事言ってるんですか?!!離してくださいよ!』
「年頃の男女が2人きり。男の方は君に好意を持っている。それに加えて雨に濡れて髪が白いうなじに張り付いていて、とても妖艶だ。そんな奴に背を向けるとこうなるんだよ?」
一息にまくし立てられ、脳の整理が追いつかない……
『?』
困惑を隠せない私に、太宰さんは後ろから耳元でとても小さく、そして甘い低い声で囁いた。
「まだ分からない?それなら……」
「一晩掛けて私が君をどう思っているか、教えてあげようか」
今夜は寝かさないよ。
❁END❁