第3章 車上の戦い
〇第3章〇 車上の戦い
「乗っ取られたのはニューオプティン発特急04840便。東部過激派「青の団」による犯行です」
カツカツとブーツを鳴らしながら黒髪の男性と金髪を後ろで纏めた女性が部屋へと入っていく。
「大佐、乗客名簿あがりました」
部下からもらった名簿に目を通した大佐と呼ばれた黒髪の男性は少し微笑み、部下たちに一言告げる。
「ああ諸君、今日は思ったより早く帰れそうだ。鋼の錬金術師が乗っている。おまけにもう一人。雷華の錬金術師も乗っている。」
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「………この状況でよく寝てられんなガキ」
そう言って、金髪に赤いコートの少年、エドワード・エルリックの顔面に銃を押し付ける。
「おい!起きろコラ!」
荒々しく叫ぶが全く目を覚ます気配がない。
「……この…。ちっとは人質らしくしねぇかこの…チビ!!」
言ってしまった。
禁句に等しい言葉とも知らない犯人の一人はやっと目を覚ましたエドに一発蹴りを入れられノックアウトである。
「やりやがったな小僧」
犯人のまた一人がエドに銃を向ける。
「逆らう者がいれば容赦するなと言われている。こんなおチビさんを撃つのは気がひけるが…」
と言って引き金に力を入れる。…が。
「まあまあ二人とも落ち着いて」
今度はアルが犯人の銃を所持する手を掴み上げる。
「貴様も抵抗するのか」と言い終わる前にエドの膝蹴りが、顔面にヒットする。
“チビ”という単語に反応し暴れまくるエドに犯人たちはあっという間に拘束する側からされる側に変わってしまった。
「俺達の他に機関室に二人、一等車には将軍を人質に4人、一般客車の人質は数か所に集めて4人で見張ってる」
音をあげた犯人から情報を聞き出すエド。
「あとは?」と拳を握りながら言うエドに「本当にこれだけだって!!」と訴える犯人。
「まだ10人も!?」
乗客たちはざわつきだす。
仲間がやられたと知ったらもしかしたら犯人が報復にくるかもしれない。
「しょうがない。オレは上からアルは下からでどうだ?」
「はいはい」
そう言い残し、エルリック兄弟は別行動をとることになった。