第44章 *終曲スカラビア*
ジャミル『明日、帰るのか?』
『ん。ママもパパも心配してるし。それに、確か明後日に大事なお出掛けがあるからって言ってたから、そろそろ帰らないとって思ってた』
ジャミル『そうか..あいつらには言ったのか?』
『ううん、これから。きっとユウは凄く寂しがると思うけど..ジャミさんはどう?私がいなくなったら寂しい?』
ジャミル『まさか、一人二人帰ったところでうちにはカリムがいるからな。さほど騒がしさに変わりはない』
『そうだね..』
コテンとジャミルに寄りかかり肩に頭を乗せると、軽く目を閉じた
『私は..みんなに、ジャミさんに暫く会えないの寂しいな..』
ポツリと呟いた声にジャミルは何度か視線をさ迷わせた後、頬を赤らめながら小さく彼女の名を呼んだ
ジャミル『レイラ..』
『なに?...っわ..』
顔をあげた瞬間、視界は快晴の空と自身に覆い被さるジャミルで埋め尽くされていた。そして、頬に手が滑りジャミルの端整な顔が近づいた
『ジャミさ..んっ...』
ジャミル『っ...』
優しく、けれど少し強引なキスが唇を塞ぎ、そして軽く食まれた後名残惜しそうに離れていった。見下ろす黒曜石の瞳は、言葉を発していなくとも"寂しい"と言わんばかりに切なげに揺れていた
ジャミル『...』
『ジャミさん..』
そっとジャミルの頬に手を伸ばして軽く撫でると、レイラはフワッと微笑んだ
『キスは好きな人とするものだよ?』
ジャミル『え?』
『だから、ジャミさんは私が好きじゃないんだから、キスしちゃダメなんだよ?』
ジャミル『え?は?』
エース『あ"ぁぁぁぁ!!!レイラがジャミル先輩に襲われてる!!』
馬乗りになっているジャミルの姿に気づいたエースが遠くから声を張り上げ、その声に反応した他のメンバーはギロリと彼を睨み付ける
ジャミル『ち、ちがっ..これは..っ』
フロイド『はぁ~?ウミヘビくん何こんなところで盛ってるわけ?』
アズール『しかもよりによって僕らの大事な人に手を出そうなんて..』
ジェイド『だから早く戻ってきてくださいと言ったのに』
ユウ『ジャミル先輩ぃぃぃぃぃ!!!』