第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
バキッ!!
ジャミル『その裏表に気づいたのは最近だろうが!この鈍感野郎!』
ドゴッ!!
カリム『細かいことばっか気にすんじゃねぇよ!この皮肉野郎!』
ドゴッ!!
ジャミル『間抜け!』
カリム『嫌味!』
ジャミル『うすらバカ!』
カリム『わからずや!』
悪口を互いに散らしながら揉みくちゃに殴り合う二人の様子に、影から見ていた一同は呆然と見つめていた
セベク『なんだあれは。まるで子供の喧嘩だ。寮生やアズール先輩すらも闇なの呆然としているじゃないか。
だが、これは好機!カリム先輩に加勢するなら今だ。行くぞシルバー!』
警棒に手をかけ踏み出そうとするセベクの胸に、シルバーは手の甲をトンと当てる
シルバー『いい、セベク。大丈夫だ』
セベク『なんだと?』
シルバー『..気が済むまでやらせてやろう。気持ちのこもった拳は、時に言葉よりも強く相手に響く..俺もそうだった』
かつて自分のために拳をふるいぶつかってくれた横に立つ弟弟子に、シルバーは小さく笑った
ユウ『しっかしまさか、あのカリム先輩が殴り合いをするなんて』
『.....』
ユウ『どうしたの、レイラ...はっ!』
黙ったまま表情の見えないレイラに思い出したようにユウの背に寒気が走る
大声での争う声、険悪な雰囲気、しかも今回は殴り合いまで
レイラの恐怖を煽る要素がはっきりと目の前で起こっているにも関わらず、今の今まで呆然と見ていた自分に苛立ちを覚える
ユウ『(しまった..くそっ、僕の馬鹿!こんなの見たら怖がってまたパニックを起こすんじゃ..)ごめん、レイラ!怖いよね。すぐに離れ、』
『いい』
ユウ『え..?あ、あれ?』
覗き込んだその表情は、いつも目の前で争いが起きれば涙に濡れ怯えているはずなのに、今はただ真剣な眼差しで目の前の喧嘩をジッと見つめていた
ユウ『大、丈夫なの?』
『ん、怖くない。それに、この喧嘩は..ちゃんと見ないとダメだって思ったから』