第87章 *懐刀インパクト*
『この音..ねぇ、リィさん』
リリア『あ?』
『向こうの方でキンキン音が鳴ってる。あと..』
よく耳をそば立てると、金属音に加えて古い妖精語の鳴き声まで聞こえ、それがとても切羽詰まった声であることに気づく
『!!妖精さんの声も聞こえる!凄く焦ってて..もしかしたら、』
リリア『紅が原に行方不明者捜索に向かった茨の国の奴らと、銀の梟が鉢合わせたみたいだな。この辺りは連中の縄張り..仕方ねぇ、手を貸してやるとするか』
行くぞ!と走り出したリリアを追って、一団はレイラの指差す方角へと向かっていった
鉄の者『賊どもめ、我らの領地から出て行け!!』
妖精『ギィーーッ、ギャッギャッ!!』
威嚇の声を上げながら立ち向かう妖精たち。それを上回る数の大勢の鉄の者たちが武器を手に、彼らを囲み込む
そんな妖精の後ろから、いくつもの足音と共に一団を率いて駆けつけたリリアが颯爽と妖精たちの隣に立つ
リリア『ずいぶんと苦戦しているみたいじゃねぇか』
妖精『右大将殿!!この窮地に姿を現してくださるとは..!!マレノア様の..ドラゴニア一族のご加護に違いない!!』
リリアが現れた瞬間、窮地に沈んでいた妖精たちから雄々しい咆哮が上がる。先程までの様子から一変し活力に満ちる妖精たちに、鉄の者たちは何事かとざわつく
鉄の者『なんだ..?賊どもが急に勢いづいた..!』
鉄の者『奴らの大将か?敵の士気が上がると厄介だ。まずはあいつを捕らえろ!』
リリア『ふっ、この俺を狙うとはな。ちまちまやり合うのも面倒だ。全員まとめてかかってこい!』