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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第87章 *懐刀インパクト*











『(水、キラキラ..綺麗)』


日の出による太陽の光を反射して輝く水面を眩しそうにしながらも、その美しさにうっとりと眺める


後ろから近づいてきた足音と魔力の匂いに緩んでいた表情を引き締め、視線だけ背後へと向けた


セベク『...レイラ』


『...』


返事はない。ただ僅かに顔が向き、耳が完全にこちらに向いているため、聞いてはいてくれるのだと判断したセベクは頭を下げてそのまま言葉を続けた


セベク『先程は、すまなかった。夢に縋りたいなどと思ってしまった僕の弱さのせいで、お前にも迷惑をかけた』


『...』


セベク『それと..貴様が出ていった後に冷静になって、ようやく酷いことを言ったと気づいた。怒りに呑まれて聞くに堪えない暴言を吐き続けてしまった。先程に限ったことじゃない..ここに来るまで道中もだ』


『...』


その言葉に岩の上についていた手がギュッと握られる。彼女が怒っていることは目に見えて分かっていたが、話をやめることはしなかった


セベク『..だが、"そういうつもりではなかった"と訂正はしない。あの言葉は紛れもなく、僕の正直な想いだ。

..ただ、僕は羨ましかったのかもしれない。

若様が貴様をとても大切な友人だと仰っていたことも、リリア様がずっと気にかけていらっしゃることも。
だが、特別な存在だという黒兎である貴様が、それを鼻にかけてお二人の好意に甘えているのではないかと..

そんなことはないと、本当は心の何処かで思っていたのかもしれないが、未熟な僕はその心の声を無視して貴様を貶した』


『...』


セベク『すぐに貴様への偏見が無くなるわけではない。だが、少しずつ貴様を知っていきたいと..思っている』






『..それで?』






セベク『貴様がどんな人間かを知って、それからどう接するかを決めていく』






『...そう』






ゾッとするような冷たい相槌が背中に悪寒を走らせる。冷や汗がこめかみから頬に伝い、手足が震えそうになるほど、彼女の纏う雰囲気は絶対零度に等しかった


セベク『っ、だから許せとは言わん。1度口から放ってしまった言葉は、どうすることも出来ない..』
























『もう、いい』




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