第5章 ダイアゴン横丁の出会い
「離せヴィオラ!!父の怒りを思い知らせてやる!!」
「しなくていいから!!それにどうせ入学したら返すことになるんだからっ!!!」
「!?
デートの約束までしたのか……?」
「なぜそうなる!?」
ヴィオラは半ば父に呆れ、母エルラの方へと目を向ける
まだ放心していて口をポカーンと開けながら座り込んだままだった
「おおお、お母さん!お父さんを止めてぇ!」
「男の子に……ジャケット……デート……結婚」
「とんでるとんでる!!そこまでいってないよ!!」
もはやエルラに話は通じなかった
それどころか結婚まで進んでしまっている
ダニーは未だ涙を流して怒り、悲しみ、ディゴリー家への恨みつらみを吐き出している
ヴィオラには通行人からの視線が痛すぎた
やがて我慢が出来なくなり、ついにヴィオラの堪忍袋の緒が切れた
「いい加減にせんかああああああ!!!」
その怒声はダイアゴン横丁のどこまでも響き渡った
この時、
ヴィオラ11歳
セドリック13歳である
彼らの運命の糸がどれほど複雑に絡まり、
解けそうにないほど固い結び目がどれだけあるかは、
誰も知らない