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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第34章 恋情記 前編



「何しに来た」

『別に何も?
悪夢見てベソかいてないかな〜?って』

「嘘付け、どうせあいつらの差し金だろ」

『…』


ヴィオラは何も言わなかった
肯定なのだ

彼女はただ、悲しそうに笑って黙るだけ




「はぁ……お前に関係ないだろ
死んでるくせに」

『ひどいなぁ、シリウスより長く生きてるんだよ?』

「そりゃ俺はお前と違ってまだ若いしな」

『そういうとこ、ほんとに女の子にモテないと思う』

「残念だな、俺女に付きまとわれる体質なんだよ」

『(そりゃあ顔が整っていますからね…)』

ヴィオラは呆れるようにため息をつく


シリウスはなんだか笑えてきた

さっきまで放っておいて欲しくてイライラしていたのに、彼女と話すといつの間にかそんなものが消えていた





少し
ほんの少しだけ




ゴーストであるヴィオラが皆に人気な理由が分かる気がする







『……リリーやジェームズが心配してたから、ちゃんと寝てるかと思って見に来たの
皆シリウスの様子を気にしてたんだよ、去年から』

「去年?」

『シリウスが去年の始業式は不機嫌だったって、リリーが話してたんだよ
リーマスもピーターも「そうだ」って言ってたから、気になって来てみたの』

「余計なことを…」

『案の定汗かいてるじゃない』

「…」


確かに体がグッショリする

悪夢といっても夢なのでもうどんな内容かは覚えていないが、あまり寝付けなかったのはそのせいだろう



「3年生にもなって悪夢に怯えるなんてな」

少し自嘲気味に言う

本当にそう思ったからだ


しかしヴィオラはちょっと怒ったような顔をする

『いくつになっても悪夢なんて見るのよ
そういえば、ダンブルドアの話によると、悪夢を見るのは大人になった証拠なんだって』

「はは、そりゃいいや」

『あはは、じゃあシリウスのことジジイって呼ぶね』

「まだ根に持ってんのか……」

ちょっと驚いた。

彼女は色々と根に持つタイプなのだろう。






『眠れないなら子守唄でも歌おっか?』

「やめろ気持ちの悪い」

『え〜』


子供でもあるまいし、子守唄なんて逆に歌われたくない




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