第34章 恋情記 前編
ジェームズ達と、またイタズラしたり、馬鹿みたいに騒いだりしたい
そうして始業式
部屋で、リーマスが話しかけてきた
「元気にしてたかいシリウス?」
「まあな」
「どうした?何かあったの?」
「話したくない……」
「……」
彼の悩みは明らかに実家の事だと誰もが分かっていた
シリウスは家族などの話題になると、すごく不機嫌になるのだ
その理由を、リーマスもジェームズも知っている
「悪ぃ、俺もう寝る」
「…分かった」
機嫌の悪いシリウスを放っておけず、しかし止めることも出来ず、リーマスとジェームズはそっとしておくことにした
そして、眠ってから数時間
「ん」
パチリ
ふと、目を覚ましてしまった
今夜は寝付けないと感じていたが、こんな時間に起きては寝ようという気にもなれない
すると
コンコン
「?」
突然、窓からノック音がした
なんだと思い、窓を開ける
そこには、楽しそうにイタズラな笑みを浮かべるヴィオラがいた
『こんばんはシリウス
ねぇねぇ、ここに家が嫌いすぎて悪夢を見ておねしょしちゃった男の子がいるって聞いてきたんだけど…
んー、名前はなんて言ったっけなぁ?
確かなんちゃらブラックって名前の子だったと思うけど
知らない?』
なんと性格の悪い
あまりにも楽しそうにしているため、思いっきり窓を閉めてやった
バン!
『あ!』
案の定、ヴィオラはまずいとでも言うように声をあげる
いつもならからかってやるところだが、今はあいにく機嫌が悪いので放っておいた
そのままベッドに入って寝ようとする
『もう、ゴーストは窓閉められても関係ないよ?
すり抜けちゃうんだから』
また突然、自分の頭上からヴィオラの声がした
「っ」
放っておいて欲しくて、「出ていけ!」と言おうとしたが、彼女の顔はさっきとは違ってどこか悲しい表情だった
『おねしょはしてないみたいだね
着替え、持ってこなくて良かったよ』
悲しそうにしていながらも、やはり軽口を叩いてくる