第33章 眠り姫
「心配なのは分かるが、眠り姫は騒がしいと起きられんぞ?」
茶化すように話しかける
(こうでもしなければ、2人は永遠と悩み続けるじゃろう……)
「ダンブルドア先生…」
「浮かない顔をしておるな
何か悩み事かね?」
「いえ…なんでもありません……」
「そうか…
そうじゃ、ヴィオラ宛にお菓子が沢山届いとるのじゃ
届きすぎておるから2人も食べるといい」
そういうと、ハリーは「ふふっ」と笑う
2年前の、百味ビーンズの話を覚えているのだろう
正直言って、百味ビーンズは嫌いだ
毎回変な味に当たるし、安心して食べられた試しがない
初めて食べたのはゲロ味だった
弟のアバーフォースは確かわたあめ味に当たっていた
(いつになったら克服できるのやら)
気長に頑張るとしよう
「ほれほれ、もう2人は帰りなさい
そろそろ夜になる」
外を見ると、もう夕日が沈もうとしていた
黄昏時だ
ダンブルドアの言葉により、ハリーとハーマイオニーは帰る
ロンは1人、苦い薬を渋々飲んでいた
それを横目に、眠り姫に近付く
「……………」
彼女の眠る姿は、かつての教え子そのものだった
あの子は優しい子だった
愛情深くて、茶目っ気があって、誰にでも人気があった
だが、死んだ
忌まわしい呪いのせいで
ヴィオラはトムを愛していた故に、死を選んだのだ
「ヴィオラ
君は全く変わらないの
眠る姿も、昔のまんまじゃ
変わったのは、君がわしらを知らん事だけじゃな」
本当に、それしか変わっていない
いつも大人びいてて、でもどこか幼くて
そんな対称的な、何とも人間くさい部分があるから、皆ヴィオラに惹かれるのだろう
花はいつも香しい匂いを放ち、蜂や蝶を誘ってくる
「おぬしはこれで良いのか?
せめてわしにだけでも話してくれたなら………
どれほど、君の負担を分け合えただろうな」
そんな事を言っても無駄だ
コールは死んだ
マリエレンダは生きている
この2人の関係性を自分は知らないが、全くの別人なのだ