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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第32章 アズカバンの囚人




(そんな……どうしようっ、どうすればっ………)

































『愛の魔法は、ディメンターのキスすら無効化できる』











「あ………」


それなら

この方法ならば、彼を助けられるんじゃないか





シリウスがどれかは分かっている

ディメンターに囲まれて歓迎でもされるかのように、彼は真ん中にいる




(愛してるなんて分からないけど………私はシリウスが大切)




やってみる価値は大いにあった






『やめなさい』

「!」

『私のヴィー』




突如銀色の光となって声をかけてきたのは

かつて愛してくれた祖父 ハンネス・マリエレンダだった



『条件は忘れていないだろう?
それをすれば、お前は二度と目覚める事が出来ない』

「……………」

『お前は優しい、それは分かる
だが、私はお前を失いたくはない
お前が生まれてきた時を何度お前を思い出したことか
私は死してなお皆を見ている
ダニーもエルラも、エドワードもお前も
だからやめてくれ、頼む』

「…………………………………大好きよ、おじいちゃん」

『っ…………やめろ、そんな言葉を言うな
それじゃまるで…』






お別れのようではないか
祖父はそう言おうとした


でも、言うのが怖かったのだろう




『私は約束したのだ、おばあさんに、誓いを立てた
だから頼む
私に、それを破らせないでくれ
私達を悲しませないでくれ』

「っ」









ごめんなさいと言おうとした瞬間



また別の声がした











『大丈夫
大丈夫よ』

「…」

不思議な声だった

後ろから話しかけられているようだった
振り返りたいのに、振り返ったら駄目な気がして

ただ、その声を聞いていた






祖父はいつの間にか消えている

代わりに声だけがする



『ほら、願って?
あなたが願えば、どんなことでも出来る
シリウスを救う事も、魂を取り戻すことも
一方的な死の制約をねじ曲げることも』






力が溢れてくる



どこからか、体を巡る魔力が増幅するような感じがする




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