第29章 悲しい偽り
ザァー!!
「うわうわ!吹き飛ばされるぅ!!」
雨が降り、風が吹き荒れる
ひどい嵐の中
誰もが愛するクィディッチが、このフィールドで行われていた
今日はグリフィンドールとハッフルパフの試合だ
グリフィンドールはウッドが最後の試合なので、彼が中心となって張り切っている
ウッドは昨日「おいグリフィンドール!明日は絶対に俺達が優勝杯を手にするぞ!!」と言ってチームの後輩達を拷問ともいえる方法で練習させていた
フレッドとジョージが泣きついてきたが、ウッドに引きずられて口にするのも恐ろしい事をさせられていた
後には悲鳴しか残らなかったので、どんな事があったかはご想像に任せよう
まあウッドが必死になるのも分かる
なぜなら今年のハッフルパフチームはセドリックがキャプテンだから
(すごいなぁセドリック
さすが成績優秀な模範生!!)
セドリックは今、ヴィオラの上でスニッチを捕まえようと見事な箒さばきをしている
ハリーは眼鏡が雨のせいで曇ってしまっているので周りが見えにくいようだ
「セドリック!頑張れ!!」
「セドリックー!!」
周りからセドリックを応援する声が聞こえてくる
それほど彼は愛されているのだろう
ウッドですら用心していたほどだ
『キャプテンおめでとうセドリック!!』
『ありがとうヴィオラ』
『セドリックはクィディッチが上手だもん!私、応援するよ!』
『はは、君はグリフィンドールのマネージャーだろ?』
『友達なんだから当たり前だよ!
あ、でもウッドには内緒ね』
『あぁ、分かったよ』
先日の会話を思い出す
彼は本当に嬉しそうだった
それと同時に不安を感じていたようだった
でも
(今年のハッフルパフは一段と強いなぁ)
セドリックの指示でハッフルパフの動きがとてもスムーズだ
ハリー達グリフィンドールも中々に強いのだが、ハッフルパフはその上の力を付けてきたよう
これは本気で戦ったらどちらが勝つか
しかし今は
「ディメンターが襲ってくるからな……」