第4章 受け継がれる愛の魔法
「創始者は力を隠し、普通の人間として子孫達が生きる事を願った、だが同時に、自分の力が伝わり、それが魔法界を守ることも願ったんだ、その想いが叶ったのか、マリエレンダに生まれるもの達には力が目覚めるものとそうでないものが混ざった
数世代に一人しか目覚めないこともあれば、複数もの人間が目覚めることもあったそうだ
そしてその度に、力に目覚めたもの達は迫害されないよう力を隠した、魔法界が滅亡してしまう時にだけ使うと決めたのだ」
ハンネスの話を聞いて、直感した
これは、恐らく私がハリー達を助けるために使う事になるだろう
「じゃあ、私の力は……」
「できるだけ隠した方がいい、信頼出来るものには明かしても構わないと思うが、例のあの人に知られたらどうなるか分からないからな」
「っわかった」
そう言うと、ハンネスはにっこりと笑い話を続けた
「それはとても不思議な力でな、キスをすればどんな病も怪我も治り、声に出して祈るだけで特別な力を一時的に他人に授けられるというものだ
マリエレンダの創始者の血を濃く受け継ぐものだけが手にすることが出来ると言われている」
「じゃあ僕は血を濃く受け継いでないのか、だから話さなかったんだね?」
「ああ、そうだ、闇雲に一族全ての人間に話せば情報の漏洩も有り得るからな
だから、自分の子孫の誰かに話すと義務付けられているのだ、私もいずれ話そうとしたが、何せ古い話だし、ヴィオラに会うと忘れてしまうんだよなぁ」
「お、お父さん」
「ははは!すまないね、だがまあ、ヴィオラが目覚めたのなら急いで話さなければならない、お前は、マリエレンダの意思を受け継がねばならないんだ」
「私が、マリエレンダの意志を?」
「そうだ、確か私の義母もヴィオラと同じだった、私は婿養子に入ったから聞かされている」
「僕のおばあちゃんが?」
「ああ、不思議な力をもっていた、
三人は『ディメンターのキス』というものを知っているか?」
ハンネスの言葉に全員が反応した
当然だ、それは最も恐ろしい処刑方法なのだ
ディメンター(吸魂鬼)とは、アズカバンの牢獄の怪物だ
人間の不幸を吸い取る化け物
ディメンターと遭遇すれば、最悪の気分になってしまう
そのディメンターのキスとは、魔法界で一番恐ろしい罪人の処刑方法だ