第23章 指輪の力
ガタガタガタ
「「………………」」
「ねぇドラコ」
「なんだ?」
「私達なんで一緒に夜会に出るんだっけ?」
「父上が…君を僕と結婚させようという魂胆なんだ…」
「やっぱり……」
皆様、ヴィオラとドラコの力ないやり取りを何事だと思うだろう
2人は今、豪華すぎる装飾が施された馬車に乗って、マルフォイ家の館に向かおうとしているのだ
なぜこんな事になったかと言うと
『お嬢様、招待状がきていますよ』
『招待状?』
そう言って、ブローが手渡してきたのはオシャレな便せんの手紙だった
差出人は「ルシウス・マルフォイ」
本屋で約束した食事会のお知らせなのだろう
『なになに?ルーシーの所から招待状がきたの?』
そう言って、手紙を覗くダニー
色々突っ込みたいのだがまずはこう言おう
『ルーシー?』
なんて可愛らしい呼び方だ
ダニーはそれに答えてくれる
『ルシウス、略してルーシー』
『略したらダメでしょお父さん』
『あいつがいない時にはいつもアーサーと一緒にこう呼んでるよ』
『アーサーさん…』
ルシウスは2人にそう呼ばれていることを知らないのだろうか
それになぜアーサーまで
あの人は一番そう呼んではいけない人だろう
『なんかね、ルシウスさんが私をドラコと結婚させようとしてるみたいで』
『なんだって?』
『あ〜、なんか聞いた事あるわ』
『お母さん』
今度はエルラも乗っかってきた
彼女は何か心当たりがあるようだ
エルラは言ってくれる
『この間ナルシッサとダイアゴ横丁で会ってね』
『ちょっと待って、お母さんそんな所に行ったの?』
『ええ、薬で必要な材料がそこにしかなくてね』
『……』
ダイアゴ横丁は闇の魔法使いしか出入りしない場所だ
そんな所に行くとはなんて物騒すぎる…
…………………………。
(いや、お母さんなら襲われてもぶっ飛ばしちゃうかな…)
ちょっと鳥肌が立った。
『適当に話してるとナルシッサがね、「うちのドラコと特別親しくして欲しいわね」って言っていたのよ、その時ピンと来ちゃって
やっぱりヴィオラの方にもお誘いがきていたのねぇ』
『つまりあのルーシーちゃんは僕の娘に手を出そうとしているわけだね?』
メラメラメラ