第21章 秘密の部屋
「そうじゃ、黄泉返ってまだ日が経たんからの
まだまだ飛ぶのに慣れておらんのじゃ、隣の部屋でしょっちゅうぶつかりおる」
「そ、それは大変ですね…」
「まあいつものことじゃよ」
ダンブルドアは少しおどけたように言う
鳥がしょっちゅうぶつかるのは大変な事の気がするが「いつもの事」で済ませるのはさすがだなと思った
そこである事を思い出す
(そうだ、あの女の子について聞かないと)
「ダンブルドア先生、1つ聞いてもいいですか?」
「何かの?」
「あの…トム・リドルには、とても親しい女の子がいたんですか?」
「…」
その質問に、ダンブルドアは大きく目を見開いた
それで黙ってしまう
(聞いちゃまずかったのかな…)
不安になっていると、すぐに返事が返ってきた
「…確かに、リドルの傍にはいつもある少女がおった
とても優しく、可愛らしい子じゃった」
「?」
ダンブルドアはなぜか過去形で言った
今は違うという事なのか?
「その子はマグル生まれの子での、わしが初めてリドルに会った時から2人は仲が良かった」
「恋人だったんですか?」
「そのようであり、実は違う」
「?」
「あの2人は恋人よりも強いもので結ばれておった、強い絆じゃ
リドルはマグルを嫌っておったが、その子にだけは唯一愛情の様なものを抱いていた」
「…トム・リドルに見せられた記憶からは、とても仲が良さそうに感じました
トムもその女の子もお互いを信頼し合っていて」
「トムは両親がおらんかったのじゃ、そのせいか、傍にいたその子に強く執着を示しておった」
「……」
リドルには両親がいなかった
だから唯一そばに居てくれた女の子が大切だった
なのになぜ
そんな人がいるのになぜ
「どうしてリドルはヴォルデモートになったんでしょうか…」
そう呟いた
その呟きはダンブルドアにも聞こえていたようで、ひどく悲しい顔をしていた
「わしから言えるのは……その少女は君に似ておった」
「私に?」
「そうじゃ、愛情深く、優しく、リドルや他の友達の身をいつも案じておった」
「…」