第21章 秘密の部屋
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パチリ
「ん」
目を覚ます
さっきの記憶から現実へと意識を向ける
「?」
何故か頬が冷たい
ここはどこだ?
体を起こし、辺りを見回す
そこは、紛れもなく映画で見た「秘密の部屋」だった
頬が冷たかったのは、少し湿っている地面に横たわって眠っていたから
「約束を果たしてくれたんだ…」
トムは守ってくれた
話をするという約束を
「それで、僕に何の用なのかな?」
「!」
男の声がした
トム・リドルだ
振り返ると、記憶で見た通りの彼がいた
トム・リドルは笑って言う
「日記を使う条件を知りながらわざわざここまで来たのなら、何かそれ相応の話があるんだろう?」
トムの傍には日記が
そして、白くなって横たわっているジニーがいた
彼女は死んでいるんじゃないかと思うほどに動かない
息遣いも感じない
たまらなくなって聞いた
「その前に、どうしてジニーを連れて来たの?私もあの日記を使ったんだよ?」
「ジニーの方がやりやすかったから
この日記に、ハリーハリーハリーと僕の憎い相手の事を描き続けていたからだよ」
「なんでこんなことをするの?」
「サラザール・スリザリンの崇高な仕事を成し遂げるためだ、マグル生まれを追放するため」
何を聞いても映画の通りに答えてくる
もう少し深く聞き出せないだろうか
「君こそ何故こんな事をする?まさか僕と雑談でもしに来たというのか?」
「ジェニファーに振られた話をしようと思って」
「ははは」
ただの冗談
それに、トムは面白そうに笑った
「あの日記は、あなたの監督生就任祝いだったんだね」
「そうだ、僕が唯一大切に思っていた人からもらった
あの時間はとても楽しかったよ、あの頃が一番輝いていたと思う」
「……なんで」
「?」
「なんで、ヴォルデモートになったの?」
「………」
トムは僅かに目を見開いた
その質問がくるとは思わなかったのだろう
しかし構わず聞き続ける
「あなたの記憶で、あの女の子はすごくあなたを大事にしてた
あなたも心を開いているように見えた
そんな人がいるのに、どうしてヴォルデモートになったの?」