第20章 日記
トムが日記を開く
そこで気付いた
(あれって、分霊箱の日記?)
少女がお祝いの品として渡したもの
それは、あの日記によく似ているのだ
いや、おそらくあれが本物だろう
ヴォルデモートは自分の学用品や家にゆかりの有る品を分霊箱にしたと聞いたが、この日記はこうして彼の手に渡ったのか
トムの表情に気を取られ、全然気が付かなかった
「君は選ばれなかったの?」
「うん、ほら、うちの寮は色々うるさいでしょ?あれをなだめるのは私には無理だからダンブルドアに頼み込んだんだよ」
「なるほど、確かにあの集団は騒がしいからね」
「代わりに就任したグレースが心配だわ…」
「はは」
雑談しながらお菓子を食べている
その姿はまるで秘密基地でひっそりと二人の時間を楽しむようだった
親友以上で、恋人に近い
上手く言えないが、そんな関係のよう
「それじゃあ、今日もまたフィレンツェと触れ合いに行くの?」
「うん、自家栽培したハーブを少しくれるんだって、それでお菓子作ろうと思ってるの」
「それは良いね、僕にもくれない?」
「もちろん!」
「……………」
不思議だった
居心地が良くて、和やかな気持ちになる
これがヴォルデモートの幼少期
なぜ、こんなに大事にしてくれる人がいるのに、彼はヴォルデモートになったのか
この少女を置いて、トム・リドルはどこへ行ってしまったのだろうか
分からないことだらけだ
「あ、」
もうおしまいだ
スライドショーは終わり
ヴォルデモートじゃなく、トム・リドルに疑問が出来てしまった