第19章 蜘蛛の王
いつもの4人組
変わらないこのメンバーで、今日、青々しい野原を歩いていた
でも、今日のハリーは少し違った様子だった
「50年前、秘密の部屋を開けたのはハグリッドだ」
「そんなはずないわ!絶対……違うわ!」
「トム・リドルなんて知らないな、汚い告げ口屋みたいじゃないか?」
ハリーの言葉を即座に否定するハーマイオニーと、トム・リドルという名前に反応するロン
無理もない
いきなりこんな話をされては混乱したりするだろう
ハリーは言う
「怪物は誰かを殺したんだ、何もしてないのに!」
トム・リドルが見せたままの記憶をハリーは伝える
しかし残念ながら、それは真実ではない
彼が見たものは事実だが、真実ではないのだ
「でも、ハグリッドが本当にそんな事するかな」
「ハグリッドが怪物を操ってたんだよ、そして女子生徒を殺した」
試しにそう言うも、やはり彼は信じてしまっている
この誤解は、アラゴグの話を聞かせなければ解けないだろう
いくら原作を知っているとはいえ、それを仄めかすような事を話せば変に思われる
「ねぇ、ハグリッドは友達よ、直接聞きに行きましょうよ」
「そりゃ楽しいお客様だね、『やあハグリッド!教えて、最近毛むくじゃらの凶暴なやつをけしかけなかった?』」
「毛むくじゃらだと?俺の事を言っとるんじゃなかろうな」
「「違う!」」
いつの間にか、ロンの後ろに当の本人が立っていた
あまりにも突然でびっくりしたので、全員で大声で叫んだ
気まずすぎるので、ハリーが話を逸らす
「そ、それ、何持ってるの?」
「あ〜、こりゃ肉食ナメクジの駆除剤、マンドレイク用だ
スプラウト先生の話じゃ、育つまでもうちょいかかるらしい
けどニキビが綺麗に取れりゃ、刈り取って、煮込んで、石になっちょる連中を元に戻す薬が作れる
それまでの間4人とも、よ〜く用心するんだぞ?いいな?」
コクコクと4人で頷く
ハグリッドの言う通り、マグルでも純血でも気を付けなければならないのは一緒だ
「ん?」
ハグリッドが後ろを見て言う
そちらを見ると、ネビルが走ってきていた
「ようネビル」
「ハリー!誰がやったのか……早く来て!」