第13章 純血の女神
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「魔法省!!」
「ポ!?」
突然枕から顔を上げてそう叫んだので、マロンが背中から転がり落ちた
だが気にしない
ちょっと可哀想だがマロンは怪我ひとつしていないので許して欲しい
(そうだ…魔法省にある魔法族出生記録ならマリエレンダ一族の人間が調べられる)
魔法省は魔法族の出生人を把握しているため、全ての記録はそこにある
「吟遊詩人E.M」のEは分からないが、MがもしマリエレンダのMならば、ここ30年から100年の間のマリエレンダの出生人に誰かしらEはいるはずだ
そして今も生存しているならば話を聞ける
「……………」
魔法省に乗り込み「出生記録を見せてください」と頼めば見せてくれるか
「絶対無理だよ……」
魔法省が保管している情報を、しかも機密の個人情報を見せてもらえるだなんて思えない
ダンブルドアに頼む?
いや、彼に迷惑をかけるだけだ
いくら偉大な魔法使いとはいえ、厳しく理由を問われるだろう
ダニーに調べてもらう?
それも無理だ
そもそも父は「国際魔法協力部」という場所で働いているので部署が違う
エリートと賞賛されていても難しいだろう
「あ"あ"あ"」
ドスの効いた黒い声が思わず喉から出る
「……ホ(ブルブル)」
マロンが震えながら見ていたのを、彼女は知らない
きっとマロンは
(え、ご主人様?え、え?こ、声が違う、え?怖い)
と思っているに違いない
(完全に行き詰まっちゃった……)
もう何も考えられない
自分一人ではマリエレンダの謎に挑戦などできない
父に頼んでも無理だろう
だって、ダニーは魔法界を守らなければならないのだから
「……………」
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忍び込もうか?
「いやいやいやいや!無理無理!!」
さすがにそんな度胸はない
なんて恐ろしいことを考えてしまったんだ
一歩間違えればアズカバン行きだ
(ひいぃぃ!考えただけでも恐ろしすぎるっ!!)
これ以上は魔法省の定めた法律に違反しかねない事を考えてしまうので思考するのをやめた