第13章 純血の女神
夏休み
太陽は眩しいほどに輝き、爽やかな風が吹く季節
マリエレンダ一家は、悠々自適に夏を過ごしていた
「お嬢様〜、お友達からの手紙が来ましたよ〜」
キッチンでブローが言う
それに「はーい」と返事をして、手紙を受け取った
差出人などを見てみる
(こっちはネビルに…フレッドとジョージ…あ!ジニーも送ってくれたんだ!)
嬉しくて笑ってしまう
「こんなにたくさんくれたんだ〜、ふふ」
「その中に男の子は?」
「うわあ!んもう!お父さん脅かさないでよ!」
急にダニーが後ろから語りかけてきた
彼の表情はもはや「暗」
寝不足の人間がよく見せる顔だ
だが決して寝不足では無い、同級生に対するただの嫉妬というものである
「男の子は?」
「それしか言わないじゃない…」
「お父さんはお婿さんは認めないぞ」
「まだ早すぎるって……」
夏に入ってからずっとこの調子だ
告白はされたか、デートはしたか、などと夏休みの始めからずっと聞いてきた
我が父ながら、しつこい
「うふふ、ヴィオラがとても心配なのは私も同じよ?」
「お母さん…お父さんのこれは同じ部類の心配なの?」
「いや、ちょっと歪曲されてるところはあるけど……まあ色々ね」
「色々……」
エルラは「気にするな」と言って笑っている
微妙な空気の中、エドワードがやって来た
「あら?エドワードおはよう」
「おはようママ」
目を擦りながらエドワードがキッチンに出てくる
ブローがエドワードのために朝食を机に置いた
エドワードは「ありがとう」と言って、もぐもぐとご飯を食べ始めた
「それでヴィオラ、男の子は?」
「まだ聞くの?!」
「お姉ちゃん、僕お兄ちゃんはまだいいよ」
「エド!?」
相変わらずの父だ
もうここまで来ると清々しい
だが驚いたのはエドワードだ
まさか弟も父の影響を受けているとは思っていなかった
「「お婿さん/お兄ちゃんはいらないよ」」
「分かったってば!」
やはり親子だ
これが、マリエレンダ一家の日常である