第12章 賢者の石
『暗黒の森』の時から、数週間が経った
学年末試験を迎え、ヴィオラは体調を考慮し、別室でテストを受けた
なんてことはない簡単なテスト
普段から勉強を欠かしてなかったので、案外簡単に解けた
そして、学年末テストから数日
「………………」
彼女は今、医務室で安静にしている
(もうなんともないのに入院なんて、本当に過保護だなぁ
まあ、前前回の事もあるから仕方ないと思うけど、これじゃハリー達と一緒に「みぞの鏡」まで行けないよ)
今はお昼
皆昼食の時間だろう
医務室はとにかく暇で、ここにある本も、全て制覇してしまった
マダム・ポンフリーと雑談はよくするが、基本的に人と話すことは全くない
(あー!暇すぎて溶けて無くなっちゃうよ!)
つい頭を抱えてしまう
「うぅっ」
グダグダと唸っていると、誰かが入って来た
ガチャリ
「あれ?クィレル先生?」
入ってきたのは今回の事件の犯人
そして教師であるクィリナス・クィレル
彼はこちらに気づき、いつものようにオドオドして答えた
「や、やあMsマリエレンダ」
「こんにちはクィレル先生、今日はなんで医務室に?」
「ああ、じ、実は、指を切ってしまって」
「あら!それなら、急いで治療しないと!」
「いや、ただのかすり傷だから…」
「駄目です、かすり傷でも悪化したらどうするんです?」
抵抗するクィレルをなだめてベッドから出る
いつもマダム・ポンフリーが傷薬や包帯を入れている棚を開ける
中から絆創膏やら消毒液やらを取り出してクィレルの元に行った
「怪我したのはどの指ですか?」
「な、中指だ、こ、ここの間の」
「はーい、それじゃあ薬塗りますね」
そう言って綿棒に消毒液を塗り、出来るだけ優しく消毒液を塗った
(傷は浅いけど切った範囲が広いな……これは早めに処置しておかないとばい菌が入っちゃうかも…)
塗りながら傷の様子を見る
幸い悪化はしてなかったので絆創膏を巻いて終わった
「はいどうぞ、これで大丈夫ですよ」
ヴィオラがそう言うとクィレルは自身の指を見つめ、「ありがとう」と言った
「………………」
これで終わりかと思ったが、クィレルは何故かこちらを見つめて動かない