第10章 活躍と不穏のクィディッチ
ホグワーツの食堂
ヴィオラ達四人はいつものように集まっていた
ただ、今日は一つだけ違う事がある
「ハリー、もう少し食べろよ」
「ロンの言う通りよ、今日は力をつけとかなきゃ」
「お腹空いてない……」
ハリーが力なく言う
今は昼食の時間
お昼ご飯をみんなで食べていたが、ハリーは先程からフォークが全く進んでいなかった
決して体調が悪い訳では無い
何せ今日は
「ハリー、これからクディッチに出なきゃなんだから二人の言うとおり食べておかないと勝てる試合も勝てないよ?」
ヴィオラは心配そうに彼に告げる
そう
今日はクディッチ
グリフィンドール対スリザリンの、因縁の試合だ
「でも、食欲がないんだ……」
「…………」
ハリーは暗い顔で俯き、そう言った
彼は期待された事がなかったから、今回の事はとてもプレッシャーに感じるだろう
失敗してしまったら、自分の居場所が無くなると思っているのだ
現に、少しだけハリーは震えている
ヴィオラとロンとハーマイオニーは、その様子を黙って見ているしか無かった
「あ、スネイプ先生だ」
ヴィオラがポツンと言う
それに三人は反応し、彼女の視線の先を見る
スネイプはこちらへと向かってきているようだった
彼はハリーの後ろに立ち、言葉をかけた
「健闘を祈る、ポッター
トロールと戦った君だからクディッチの試合くらい簡単なものだろう?
たとえ、相手がスリザリンでも」
スネイプはもっとプレッシャーをかけるかのようにそう言い残し、さっとどこかへ言ってしまった
(あのハリー嫌いはもう筋金入りだねぇ………)
呆れて、そう思ってしまった
原作を知っているのでスネイプが何を思い行動しているかは知っているが、どうしても納得は出来ない
リリーを想ってデスイーター(死喰い人)から寝返ったのは本当にすごいことだと思う
それだけ、リリーを愛していたということなのだから
でも、息子であるハリーにどうしてここまでするのか
父親のジェームズが憎いのは仕方がないが、彼にこんな事をするのはどうしても賛同出来なかった
「そうか、あの血は!」
スネイプについてしみじみと物思いにふけっていると、突然ハリーが声を発する
「血って?」
ハーマイオニーが聞く
ハリーはそれに何かを確信したように答えた