第9章 寄り集まるグリフィンドール
「おぬしは、もう出て良いぞ
スリザリン寮の事もあろう、色々気になることもあるようじゃしな」
「………………」
ダンブルドアが意味深にそう言う
マクゴナガルには聞こえないように、最後の部分は小さく言った
それに、スネイプは答える
彼は頭がいいから今の全てで分かったのだ
ダンブルドアは
『疑いのある者は全力で調べてこい』
と言いたいのだ
「では、吾輩は先に失礼させていただきます、スリザリンを見てこなければ」
ダンブルドアに従い、マクゴナガルにはそう言った
彼女は目線で答え、あとは事後処理をこなした
スネイプが疑っている者をダンブルドアは知っている
それが何者なのかも、誰なのかも、恐らく彼は知っているだろう
彼は何でも知っている
ホグワーツの校長なのだから
スタスタスタ
早歩きで、彼の元へと向かう
そう、『彼』だ
現闇の魔術に対する防衛術の教師であり、トロールの侵入にいち早く気付いた、あの男
普段はビクビクしているが、あれは所詮仮面の姿だ
その演技に騙された教師が一体何人いるだろうか
「クィレル先生」
「ひぃ!ス、スネイプ先生」
そう、クィナリス・クィレル教授
彼のことだ
「何かお探しですかな?」
「い、いえ、何も」
またこうだ
彼はいつもオドオドする、何に対しても、誰に対しても
それに何故かいつもニンニク臭い
頭に巻いているターバンからするのだが、クィレルはターバンを頑なに人前では取りたがらない
「ではなぜこんな所に?マクゴナガル先生やダンブルドア校長はトロールの事後処理に追われているというのに、あなたは何故?」
「そ、それは、散歩です…」
「ほう、散歩?」
「ええ、少し気分が滅入ってしまって……き、切り替えるために少々…歩こうかなと」
「ふむ、クィレル先生はよっぽど散歩がお好きなようですな、トロールの侵入にもいち早く気付いたようですし……」
「っ…………」
スネイプがそういうと、クィレルは黙る
何も言えないということはやましい事でもあるのか……
それとも、スネイプを警戒して演技を続けているだけか……
「た、ただの偶然ですっ」
「偶然、本当に偶然である事を吾輩は祈ります」
そう言い残し、スネイプはその場から去る
クィレルからの視線を感じながら