第3章 マリエレンダ家の天使
「おぎゃあ!おぎゃあ!!」
ある日の昼下がり
潮井麗乃が望んだ魔法の世界
マリエレンダ家に、一人の天使がやってきた
彼女は自分のおかれた状況に目を白黒させていた
(あれ?私、なんか小さい?)
麗乃は神様との約束でここに、
ハリーポッターの世界に数時間前生まれ直してきたのだ
今は毛布に包まれ寝っ転がっている
(あ、そっか、神様の力で生まれてきたんだった
じゃあ今の私は赤ちゃんになってるんだあ、よく考えたら当たり前か)
「うう、あう」
珍しいものを見るかのように自分の手足を確認する
小さなぷにっとした手に数センチしかない足
喋ろうとしても舌が上手く回らないので「あうあう」といういわゆる「バブバブ言葉」しか話せない
「ああ、なんて可愛いのかしら」
女性の声が聞こえる
「うう?」
「ふふ、私の可愛い天使ちゃん」
女性はこちらを見て優しそうに笑った
(私のってことは、この人がお母さんなんだ!)
「うう!ぅあぅあ」
ママと言いたいがなかなか言えない
赤ちゃんなんだから当然かと思ったが、さっきまで普通に神様と会話していたのに急に話せなくなったのだから不便だとも思った
ちなみに、麗乃の時は私が5歳の頃に両親は二人とも死んだので15歳になっても心の中でずっと「ママ」と呼んでいた
さすがにどうかと思うが癖になってしまっているので仕方がない
「バブバブ言葉」を話していると、母親であるこの女性は美しくわらった
「まあ!エルラ、可愛い女の子ね!」
また女性の声が聞こえた
奥の部屋から勢い良く入ってきて、私の顔を覗き込んだ
(あー!この人もしかして!!)
するとまた奥から男性が入ってくる
「モリー、エルラはまだ万全じゃないんじゃないか?」
(あー!!この人達絶対あの一家じゃん!!)
麗乃は直感した
そう、目の前にいるこの二人の男女
赤毛の夫婦
アーサー・ウィーズリーとモリー・ウィーズリーだ
「ああ!よく頑張ったわねエルラ!ねぇ、名前はどうするの?」
「それは夫が帰ってきたら一緒に決めようと思ってるの、あの人絶対決めたいって前に駄々こねてたもの」
「それはいかにもダニーらしいな」
「ええ、ほんとにね」
3人はまだここにはいない私の父の話をして楽しそうに談笑していた
(私のお父さんかぁ、どんな人だろ)
そんなことを考えていると