第2章 出会い
うらたside
日向ぼっこでもしようと思って、日がよく入るこの入口付近の部屋でやまだぬきとのんびりしていた時だった。
おかしな格好をした女が歩いて来て、店の前で立ち止まった。
声を掛けたのは単純な好奇心。いや、この歳で好奇心とか笑えねぇけど。
この部屋へ案内し、理解し難い話を俺なりに理解した。
女の名前は蕾というらしい。何の巡り合わせか、この遊郭とよく合う可愛らしい名だった。そう伝えると、蕾は目に見えて顔を紅くする。
最近の女ではこんな初々しい反応は見せない。新鮮さと愛らしさを久しぶりに感じさせてくれた蕾を、もう少し手元で愛でたいと思うのは普通だろう。
蕾にここで働く事を承諾させ、ついでに敬語とさん付けを外せと頼むが…
蕾「無理です。うちは付き人で、浦田さんは雇い主やないですか。上司に敬語無しは無理です」
と拒否された。こんな事は初めてで、意地でも呼ばせようと躍起になる。
浦「どうしても無理って言うなら、俺にも考えがあるけど…?」
蕾「ひゃっ!?」
正座した蕾に迫り耳に息を吹きかければ、可愛い声で驚く。こんな反応も久々で、加虐心が刺激される。
恐る恐る上げた顔にそっと右手を添え、首筋から頬へなぞるように撫でる。
「ねぇ…」と息たっぷりに囁けば、ビクッと怯えるように驚く。
素直な反応が可愛くて、涙でいっぱいの目や真っ赤な顔をもっと見たいと思い、逃げられないように押し倒す。
浦「ウブだねぇ。もっといじめたくなっちゃうじゃん」
蕾「や、やだ…」
浦「嫌なら敬語外して名前で呼んで?それが出来ないなら、最後までヤっちゃうよ?」
そう言えば慌てて「呼ぶから!」と言う。
浦「本当?試しに「渉」って言ってみ?」
蕾「……た…」
浦「んー?聞こえないな〜?このままだと接吻しちゃうかもしれないな〜?」
蕾「わ、渉!」
顎をグッと持ち上げたところで、その鳥のような綺麗な声で俺の名を呼んだ。
浦「ん、お利口さん。怖がらせてごめんな」
蕾を起こし、そっと抱き寄せ頭を撫でる。「ほんまですよ」と、蕾は愚痴りながらも抱き締め返してくる。
余程怖かったらしく、震えが止むまでしばらくかかった。
ふと襖の奥から気配を感じる。睨んでおけばその気配は消えたが
浦(後で言っとかねぇとな…こいつは俺のだって)