第2章 赤園虎次郎♠︎今夜は離さない
今日も私の隣を歩く彼は、本当にその笑顔を私だけに向けてくれているのかなぁ…
虎「どうしたの、愛。浮かない顔して…。らしくないよっ?」
愛「えっ?あっ…ううん、なんでもないよ!わぁ、あのクレープ、美味しそう!行こ行こっ♪」
…最近、不安になることが多い。
私の彼氏ーー虎次郎は、元々皆から好かれる人柄で、モテるかモテないかというと…断然モテた。
しかも、先日の文化祭で歌を披露したところ、女子からの人気はますますヒートアップして…私も気が気ではないのだ。
今日は、そんな思いをちゃんと伝えようと思っていた。だけど…
愛「美味しいね、クレープ!」
虎「そうだな!」
どうしよう、なかなかタイミングがつかめない…
そうして私が困っていると、虎次郎が口を開いた。
虎「愛、なんかおかしいね…。今日は、家帰ってゆっくり休んだら?俺、送ってくよ。」
愛「え?いや、大丈夫だよ!」
思いもよらない虎次郎の言葉に驚きつつも、否定する私を見て、虎次郎は言った。
虎「愛、どうしたの…?最近いつも上の空で、浮かない顔してるし…。やっぱなんかあったの?」
私は、虎次郎のせいじゃんと思いつつも、笑顔をつくった。
愛「そ、そうかな…。大丈夫だって!」
虎「嘘だ、やっぱ変だよ。」
…なんだか、イライラしてくる。気づいてくれない虎次郎に…いや、それ以上に、勝手な事を考えて1人で怒っている自分に。
私は、我慢しきれなくて声を張り上げた。
愛「なんでもないって言ってるじゃん!ほっといてよ!」
バッグを乱暴に掴んで、イスから立ち上がる。
戸惑いを隠せない虎次郎の顔に一瞬ドキッとしたが、走り出すともう止まらなかった。