• テキストサイズ

キメツ学園【鬼滅の刃】

第48章 前世の記憶ーあなたは誰をー


ずっとこんな日が続けばいいのに。

何回も思った。愉快な仲間…そう思っていたのは私だけかもしれないが、そんな子達に囲まれて。素直に楽しかった。この日常が好きだった。


けれど、夜は、鬼は。私の仲間を、日常を、全て奪っていくから。楽しい日常を、壊していくから。


「……私は黒死牟」

「………」


お腹が痛い。刺されたばかりなのに。けれど、その痛みも和らぐ。確実に再生した。

明日で約束の十年後だ。薬がきいてきている。私は、どうやら“当たり”らしい。


上弦の壱。


私は死を覚悟した。
覚悟したが、日付が変わるまで生き残れば…。十年前の決意が報われる。桜くんの努力が実る。

私は刀に手をかけた。

ひしひしと伝わる鬼の気配に少し身震いをした。目標が決まれば何てことはない。日付が変わるまであと数時間。生き残ればいい。


「こんばんは、継国巌勝。」

「…ほう、よく知っている。」

「えぇ。自然とたどり着きました。」

「……。」

「もちろん、継国緑壱のことも。」


黒死牟が黙る。私の体の中にはコイツの血が混じっています。桜くんは、黒死牟の血からあの薬を作ったのですから。


「お前の中から少し…私の存在を感じる。」

「そうですか。」


おやおや、厄介ですねぇ。

これは手強い。私は勝てない…けれど、私が勝たなければ。生き残らなければ。


「ずっと会いたかった」

「はぁ、こちらはごめんなことですが。」

「これでようやく“阿国”を消し去ることができる。」


すさまじい殺気が飛んできます。しかし、怯みません。


「…オクニ…?何か勘違いをしていませんか、どちら様ですか?」

「そのいまいましい瞳を私に向けるな、何百年たってもその目だけは変わらぬのか…私のもっとも嫌いなものが。」

「嫌われる覚えはないのですが」


いったい誰の話をしているのだろうか。

緊張感のはりつめるなか、私は刀を握る手に力をこめました。
/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp