第5章 夢見る
大事にしたくない。
警察とか、親権とか、多分色んなことが絡んでる。ちゃんとした方がいいんだろうけど。
私はおばさんに素直に言った。今まで何をされてきたか。さっき何をされそうになったか。
「関わりたくないから、私は何もしたくない。でももう一緒に暮らすのは無理。」
おばさんはそれを聞いてくれた。
「この家、本当はお父さん…おじいちゃんのなの。あの二人は家賃とか払ってないのよ。だからいつでも追い出せるしこのまま帰ってこないようにすることもできるの。」
「そ、それがいい。私それがいい。」
「そう…。でも一人じゃ住めないわよね。兄さんはね、家を飛び出した人だからおじいちゃんには逆らったりしないし…おじいちゃん、おばあちゃんと暮らすのはどう?」
おばさんの提案は魅力的だった。
…でも。
祖父母の家はここから遠い。電車で二時間半とかだ。
「それじゃあ学園に通えなくなる…。私、一人でも大丈夫。学園には行きたいの。」
「わかったわ。でも、中学生を一人で暮らせるわけにはいかないの。おじいちゃんとおばあちゃんをこの家に呼ぶのはどうかしら。」
私はキョトンとした。
二人がどんな家に住んでいるのかは知らない。というか、そもそも絶縁も同然だったので小学校に入学してから会ってもいなかった。
「そんなの迷惑だよ…。私、学園は諦める…だから。」
「あぁ、いいのよ?全然。おじいちゃん達の家知らないのよね。この家もともとはおじいちゃん達が住む予定だったのよ。なのに兄さんがこの家に住んじゃったから、おじいちゃん達は古い家に住み続けてるの。
思い出があるにはあるんだろうけど、それ以上に暮らしづらいって言ってたから…。ちょうどいいんだけど、どう?」
あまりにも都合のいいことに開いた口が塞がらない。
……私以上に、大人の方が都合がいいんだろうけど。