第24章 前世の記憶ー霞がかる煉獄ー
お館様からの命で、私は今走っている。
(……いかんせん、遠いんですよね)
送った隊がほぼ壊滅状態だという。階級の高い隊員を先に送ったと言うが、心配だ。
一分一秒を争う事態。
嫌な気配がする。恐らく十二鬼月。
……気配を消すのが得意だから、私でも探るのが難しいのだけれど。戦闘中なのだろう。今はわかる。
でもこれは下弦…。私はなかなか上弦に会えないな。
向かうべき場所はとある田舎の村で、村が丸ごと襲われているらしい。
村人は無事なのだろうか。
自然にかこまれた場所と言うので森の木々を掻き分けているが、果たして間に合うだろうか。
「……近い…」
私は速度をあげた。
しばらくして村が見えてきた。
「……」
そこには死屍累々。全て鬼殺隊で、ところどころ食いちぎられていた。
「………。」
私は気配を辿る。
鬼が三体。そして…。この闘気は恐らく鬼殺隊の隊士…一人か。そして、たくさんの怯えた気配。村人かな。
まずい。一人しか残っていないようです。階級の高い隊員が来ていると言うけれど、やられたのか。
私は気配のする方へ向かった。
ボロボロの隊士が一人。
その後ろにたくさんの村人。
目の前に三人の鬼。
「お前で最後だッ!!死ね鬼殺隊ッ!!!」
「……ぐ…!!」
ボロボロの彼は膝をついてしまった。
間に合ったと言っていいのかわからないけど、間に合いました。
鬼が鋭い爪を向けるそのタイミングを見て私は間に割って入った。
ガチン!!と音がする。
ギチギチとお互いの力がぶつかり合う。……おや、今のではじけないとは。なんという力でしょう。…目に数字がないのを見ると十二鬼月ではないけど。
十二鬼月は血を与えて鬼の力を増加させることができるって聞くし、この鬼はそうなのでしょうね。