第13章 不透明
遺書を残し、継子に教えるべきことも教え、あの子は柱になる権限を得た。
私が死ねば、彼は柱になるでしょう。
先行きの見えないことがあった。私はとある問題を抱えていた。誰にも悟られてはならない。私だけの、秘密。
しかし、その秘密に私はいつか殺される可能性が出てきた。
だが死にたくはない。まだ死ぬ予定もない。せめて上弦の鬼を一体くらいは斬りたい。
そう思っていた。
そう思っていたのに。
『……ぇ…?』
『………すまない…』
彼は謝る。
私は笑った。
『…!』
腹部に刃が突き刺さっていた。
『な…』
『お前は……』
刃が引き抜かれる。
『…すまない』
最後まで語らず、走り去る。彼は走り去った。
戸惑いを隠しきれないまま私は近くの壁にもたれかかった。臓器に穴が…あぁ、これはダメです。
『………まさか』
意識が薄れるさなか、私は鬼の気配を感じた。
でも人の気配もまざっている気がして。
この気配は…。
『冨岡くん…?』