第21章 噂
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それから更に日が流れた。
夜野さきという名は、このほんの数ヶ月の間に、“あの”はたけカカシの相方だとか、恋人なんじゃないか...と里内外でちらほらと噂されるようになっていた。
また極一部では、密かに“異名”を持つ忍者としても。
きっかけは、里の殆どの忍が任務に出払っていて全くの人手不足の時に、下忍にはほぼ割り振られることの無い、Bランク任務を任せられた際のこと。
中忍を隊長とする、さきら数名の下忍を含めた小隊と、カカシ率いる上忍の小隊がその任務にあたり、思わぬことから他里の忍びと激しい交戦を強いられ、実質Bランク以上の任務を遂行した。
その時の戦いに最も貢献し、戦力となったのがカカシとさきの二人だった。
二人は呼吸をするように、当たり前にお互いの動きを把握し、互いの長所を活かしあって戦った。
仲間が下手に加勢するのも申し訳ない程に、ぴったりと息があったチームワークだったという。
爆発的な攻撃型のカカシと、遠距離型の援護攻撃のさき。
火遁を花火の様に操る、下忍と思えないその様子からさきは、“彩火師(はなびし)”や“操炎(そうえん)のさき”との異名をつけられた。
また、戦いの中でさきも以前見たメモの中にあった“写輪眼のカカシ”、“コピー忍者のカカシ”の通り名の意味を知った。
日々数々の任務をこなし、カカシとの修行、サスケとの修行にも勤しみ、努力を惜しまないさきはほんの少しずつ、里の者にも知られ、溶け込んで行った。