第3章 龍虎退治
(あ…)
思った瞬間、光秀さんの私を抱き締める腕に少しだけ力が入る。
まるで私の心を読んだみたいなその行為に、この人は本当に鬼なんじゃ、と思っていると
今度はその手が、トン、トンと背中を叩き始めた。
まるで小さな子供をあやすようにその手は一定のリズムを刻む。
背中から伝わる光秀さんの手は、冷たいはずなのに暖かくて……、優しい。
(今だけ…)
今だけはこの人に甘えたい。
(あんな恐ろしい思いをしたんだもの…)
全てを今日の戦のせいにして、私は光秀さんの胸の中で静かに目を閉じたーーー