第16章 水色桔梗の言葉を
「わかったんです。あなたには、あなたの義があって……あなたはそれを貫くためなら、悪をも演じてみせる人なんだって」
「…………」
「あなたが為そうとしてることが何かは想像もつきません。でも……信じられると思ったんです。あなたのわかりにくい優しさを」
「まったく……見上げたお人好しだな、お前は」
(なんて言われてもいい。今すぐ答えをくれなくてもいい)
「いつか、光秀さんの本音にたどりついてみせます。今は明かせなくても、その時は……あなたの覚悟を少しでも、私に背負わせてください。独りで全部抱え込まずに……私だけには……頼ってください」
「茜……」