第16章 水色桔梗の言葉を
…………
時同じ頃ーーーー
「義元はまだ見つからないか……」
幸村と佐助から届いた文を広げ、信玄が深い息をついた。
「織田軍との戦もいまだ膠着状態。奴らは、今まで以上に守りを厚くしてきた」
「–––さては、内部で何かあったかな」
謙信の言葉に信玄も眉を潜める
文には、織田軍の領土で些細な謀反が起こり、すぐに潰された事件についての詳細が書かれていた。
陰で暗躍していたのは信長の腹心である明智光秀、彼の隣にひとりの娘の姿もあったらしい。
その事件の渦中で幸村と佐助は、義元と、足利義昭を目撃したのだという。