第15章 仕返しのキス
「……これはこれは」
「化け狐がとうとう正体を暴かれたようだな」
「いつぞやの返礼をさせてもらおう、光秀殿」
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「理で勝てないからといって手を上げるのは感心しないな。器の小ささが知れるぞ」
「み、光秀殿、先ほどの言葉は、その……っ」
「俺は何も聞いていない。お前たちも、この娘とは何ごともなかった。そうだろう?」
「は、はい!」
「ならば、お互い忘れるとしよう。何、狐にでも化かされたと思えばいい」
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彼らは、いつぞや城下で茜に絡んできた武士たちだ。
牢番に賄賂でも渡して鍵を借りたらしく、牢の中へと踏み入ってくる。