第15章 仕返しのキス
「バレてしまったのなら仕方ない。煮るなり焼くなり、お好きなように」
(そんな……!)
「っ……投獄しろ!」
光秀さんが、縄をかけられ連れられて行く。
罪人にはとても見えない、堂々たる態度で。怖いものなど何もないと言いたげな顔で。
「待って、連れて行かないで……!」
追いかけて駆け出すけれど、兵たちに行く手を阻まれる。
姿が見えなくなる間際、光秀さんが首だけをこちらに向けた。
「茜。お前との旅は、なかなか楽しかったぞ」
(そんなの、私だって……!)
「……い、いや…っ……!おね……がい……」
伸ばした手は届くはずもなく、遠ざかる光秀さんの背中に伸ばされたまま空を掴む
光秀さんの見つめる眼差しは、温かく、優しく……まるで私を、目に焼き付けているかのようだった。
…………