第14章 化け狐と今宵かぎりの想い
亡くした恋人のことを忘れたわけじゃない。
死ぬまで彼を想い続けたいと思っていたのに……
私が作り上げた壁をこの人はいとも容易く乗り越えて来る。
この気持ちから、逃げようとしてもその腕にすぐに絡めとられてしまう
どんなに気持ちにブレーキを掛けても
……こんな人、好きにならずにいられない。
待ち受けるのがたとえ地獄でも。
安土へ戻るまで、甘くてずるい時間が、ずっと続いた。だから……
ふたりで慎重に紡ぐ偽りの絆が、一瞬で断ち切られることになるとは、思ってもみなかった。
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