第14章 化け狐と今宵かぎりの想い
「助けて……あげて……」
「茜さん……」
堪えた気持ちが苦しくて、私は胸元でぎゅっと両手を握りしめた。
「……ばっかじゃねぇの?!んなこと、お前に言われなくたって、必ず見つけて連れて帰るから!余計な心配してんじゃねぇよ。」
ぽん。と幸村の手が私の頭を軽く叩く。
「本当、お前……敵なのに変な奴だな。」
ぶっきらぼうな言い方とは対照的に、頭に置かれた手は優しくて……
幸村の力強い言葉は、私を大丈夫と思わせてくれるには十分だった。
「–––ところで、茜、さっきお前が一緒にいた男、明智光秀だな?」
「……!」
(幸村は、光秀さんの顔を知ってたんだ……)
突然の言葉に驚いて顔をあげると、そこにはいつもの幸村じゃなくて、厳しい顔をした幸村がいた。