第13章 大切な人
「昨夜のお前の話も、充分役に立った」
「本当ですか……? 一体どのへんが……」
「今にわかる」
光秀さんはにやりと笑うと、信長様宛の文を綺麗に折って懐に入れた。
「証拠を揃えただけでは、信長様への手土産には不足だ。明日の祭りでケリをつける」
(謀反の企みを潰すってこと……?)
一体どんな計画なのか、たった一夜で成し遂げられるのか、そんな質問には意味がない。
なぜならこの人は、明智光秀だから。
(光秀さんがやると言ったら、必ずやる)
「私にお手伝いできることはありますか?」
「お前には、総仕上げの大役を任せよう。楽しい即興芝居の始まりだ」
………