第10章 偽りの夫婦
※ P 325に光秀さん目線を追加していますので、そちらもお読みください。゚(゚´ω`゚)゚。
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茜と光秀が安土を発ったのと同じ頃–––
「謀反の兆しだと……?」
「はっ。東方や北方で、小国の大名が妙な動きをしているとの報が……。それもひとつではございません」
「信長との戦がこれからって時に。奴は、味方が一丸となってかからない限り勝てる相手じゃない」
家臣の報告に『どうしたものか』とため息をつく信玄。
謙信は眉間に皺を寄せ顔を顰めた。
「待ちわびた大戦に水をさす者は、何人たりとも許しはせん」
「どうする、謙信。幸と佐助を–––越後に、呼び戻すか?」
「それには及ばん。ふたりに『“奴”の捜索を最優先で急げ』と命じて西方へ遣わしたのは、信玄、お前だろう。」
「……そうだな。一体どこに消えちまったんだろうな、あのボンボン息子は」
「…………」
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