第7章 虚心坦懐
怖いと思う暇すらなくなり、私は必死に馬を走らせた。
「はぁ……っ、はぁ……」
「よくついて来られたな、褒めてやる」
「ありがとう……ございます……」
(自分の足で走ってるわけじゃないのに、…なんで、こんなに体力を消耗するんだろう……)
「そろそろ馬を休ませるか。ついでにお前も休憩するといい」
「は、はい……」
人間の休憩がついでなんて、おかしな言い方だけど、人を乗せて駆ける馬の方が当然、疲労する。
うっかりしてると気づけない、そういう優しいところが、私がこのひとを疑えない理由なのかもしれない。