第1章 プロローグ
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「ここは……?」
木が燃えるような焦げ臭い臭いと、パチパチと何かが弾ける音に私は目を覚ました。
周りが白んでいることに自分が煙の中いるのだと気づく。目を凝らして見渡せば、さっきまでいた場所とはまるで違う、お寺のような建物の中に居た。
(私……、なんでこんなところに?)
「……っ…ごほっ……ごほ…っ…」
喉が痛くなる感覚と目が染みるので、突然のことに訳がわからないけれど、どうやら私は火事に巻き込まれているらしい
さっきまで本能時跡にいたはずなのにーー
何故だか、私は今、命の危機に晒されている。
そんな危機的状況にも関わらず、私が思ったことはこの状況にそぐわないことだった。
(あぁ…、これは一人になった私を哀れんで、神様が計らってくれたのかな。)
熱いのはちょっと嫌だったな
出来れば苦しくない方法にしてほしかったな
黒焦げで誰かも分からくて、身元不明になるのかな
探してくれる人は……、誰もいないな
とか、煙が迫る中、頭の中ではそんなことを考えていた。
だって……私は……
私は、もう…生きることに疲れていたからーーー