第6章 疑心暗鬼
…………
「しばらく織田軍の動きを静観するですと……!?」
「そう。言っておくけど、これは決定。騒いでもくつがえることはないよ」
(やれやれ……。ここにも、戦馬鹿たちがいたか……。)
自室に戻った義元が、自身の家臣たちに軍議での結果を伝えると、家臣たちは義元に不満をぶつけた
「もう我慢がなりません……! 我らが今川家は、つくべき相手を誤ったのだ!」
「どういう意味……?」
「義元様、今こそあなたに会ってもらわねばならないお方がおります。そのお方こそ、謙信殿や信玄殿よりも、我らが今川家が与するに相応しい相手です!」