第6章 疑心暗鬼
「光秀、貴様は引き続き顕如の動向を追え」
「御意のままに」
(ん?『引き続き』ってことは……あの夜からずっと光秀さんは、本能寺の件の調査を続けてたの?)
信長様の命令に、私の中で何かが引っかかった。
逃亡を阻止するために監視する。それが、光秀さんが私の指南役になると申し出た理由だ
忙しいなら、私の監視は部下に任せることだってできたはずだ。
(なのに、どうして……?)
その疑問が小石を投じられたように、心の波紋が広がっていく。
涼し気な横顔を盗み見るけれど、結局、何も読み取れなかった。
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