第1章 プロローグ

「万が一、信長様に手をかけようとしてたのがお前なら…容赦しない」

「その人じゃないと思います…！」

「「は？」」

（口出しなんてしたくないけど……。目の前で人が斬られるところなんて見たくない）

「私は織田信長を…っ…じゃなくて信長様を襲った人影を見ましたけど、着物の形が違ってました」

（暗くて顔は見えなかったけど、明智光秀とは別の人だ）

「やめろ、秀吉。 光秀がここへ来た思惑はどうであれ俺は無事だ」

「っ……！　信長様、失礼しました」

秀吉さんの手は、刀の柄から即座に離れた。


（信長様の言うことは聞くんだ…。そういえば豊臣秀吉って信長の忠実な家臣だったよね。 この人たち、やっぱり本物みたい…）

「秀吉、光秀。 貴様らはしばらく黙っていろ。 俺は茜に話がある」

「えっ、私ですか…？」

秀吉さんと光秀さんがすっと左右に控え、信長様がそばへ歩み寄ってくる。