第5章 愛しけりゃこそ強とと打て※18禁域※
ぐすんと鼻をすすると、ゆっくり身体を起こされ、再び光秀さんの膝の間に座らされる。
「…少し苛めすぎたか」
「少しじゃないっ…!」
「そう怒るな。……俺に抗わないお前が可愛くて、つい、な…」
言いながら、光秀さんは私の手を口元に引き寄せると、親指を縛っていた紐の端を唇で咥え、しゅるりと解いた。
ようやく自由になった手で涙を拭おうとする私の手を制し、唇が優しく目の縁の雫を舐めとる。
「泣くな、〇〇…」
「自分が泣かせたくせに……」
涙声でそう言いながら振り向いて睨むと、光秀さんは困ったように笑う。
「酷くしたこと、悪く思うな。……それもこれもお前を愛しているが故にしたことだ。意地悪などではない」
泣きべそをかく私の背中を優しく擦りながら、光秀さんが言葉を続ける。
「この乱世ではお前の素直さが時に仇となる。お前が手を差し出した先にどんな危険が潜んでいるかわからない……それを身を以てわかってほしかったんだ」
今までとは違う真摯な声色から、光秀さんの想いが伝わってくる。
わかってはいたけれど、光秀さんがどれだけ私を大切に想ってくれているのかを改めて教えられた気がして、自分の軽率な行動を悔いた。
そう思うと、自然と涙が引いていって…
「光秀さん、ごめんなさい。……これからはちゃんと気を付けます」
そう心の底から誓った。
「いい子だ…」
優しい声が囁いて、腕に抱いた私の頭を、ぽんぽん と撫で光秀さんが微笑むのがわかって、ほっと胸をなで下ろす。
「さて。いい子には褒美をやらねばな……ここからは、お前の望むように愛してやろう……どうしてほしい?」
そう言われても、無駄に煽られのぼせた頭では何も考えられなくて、とにかく早急にこの不完全燃焼の熱をどうにかしてほしかった。
だから…
「光秀さんの、…好きに、して…ください…」
「言ったな?……今度は泣いても止めてやらないぞ?」