第4章 キセ+カレシ
「………リマさんです」
「………え」
「うちのマネージャーの名前が知りたいんですよね。リマさんですよ」
「リマ………」
「……とてもよく働いてくれてます。働き過ぎなくらい………」
「…そ、そうなんスか?」
「はい。時々倒れるんじゃないかと心配です」
その子の話をする黒子っちの顔はすごく穏やかで、優しい表情をしていた。
………こんな黒子っち初めて見た。
「……可愛いっスよね、あの子……」
ふと、零れた言葉にはっとする。
え、俺、黒子っちの前で………
チラッと横目で様子を伺うと黒子っちは聞こえていなかったのかいつも通りの無表情だった。
その顔を見てホッとする。
「…黒子っち、俺、そろそろ行くっスわ」
「え?あ、はい。わかりました」
ケータイを出して時刻を確認する。
このままずっと黒子っちをここに引き留めといたら誠凛さんが困るだろうと思い、俺はベンチから立ち上がる。
「んじゃね、黒子っち!次は負けねっスよ!?」
「…次も勝ちます」
強気な黒子っちに俺の気持ちは高ぶった。
「じゃ、ばいば_____「それに」」
もうすでに公園の外に出ていて、最後にもう一度声をかけようとしたところで、俺の声は黒子っちに遮られた。
「……譲りません」
静かだけどはっきりと言った黒子っちは少し口角をあげていた。
き、聞こえてたんスか…………