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【ワールドトリガー】犬飼澄晴 短編集

第9章 21歳組飲み会(2) (→)


21歳組が飲みながら話してるだけ。犬飼出ません。





あ、葉瑠は思い出したように、バッグから文庫本を出した。

「諏訪、本読み終わったから返すね。ありがとう」

「おう。続き出てるけど、読むか?」

「読む読む!」

「今度持っていくわ……ん?」

諏訪が手にした文庫本を見ると、しおりが挟んである。

「葉瑠、しおりが挟まったままだぜ。ほらよ」

「いっけない。ありがとう」

諏訪は、このしおりを何度も見たことがある。確か初めて見たのは、エンジニアになるのを決めたころだった気がする。その頃は、葉瑠が不安定だったから、心配でよく見ていたものだ。

当時を思い出して、少し迷ってから、諏訪は尋ねた。

「今だから聞くけどさ、何でアタッカー辞めたんだ?」

葉瑠はきょとんとして、うーんと唸って話し始めた。

「今だから言えるけどさ、隊員が増えて、みんなどんどん成長して、実力は抜かれてさ……。周りがどんどん進むのに、私は止まっていて成長できなくて、置いていかれてるなって思ってた。すごく落ち込んで、もうやりたくないって思ったんだよね」

「そうだったのか」

木崎がこちらを向いた。頷いて続ける。

「今思えば、スランプだったかもしれないけど……」

風間がうんうんと頷いている。

「俺もそう思う」

「そう思う?そっかー。前向きに続けたら、いい線いけたかしら」

「時任隊、あったんじゃないか」

時任隊と聞いて、諏訪は笑った。

「ハハっ。あれだな。太刀川んとこの出水みたいな、いい補佐役が必要だろ」

「葉瑠は、気づくと突っ込んでるから」

寺島が続き

「戦闘前は、よく考えてるし作戦も練るけど、夢中になると周りが見えなくなる。猪突猛進型だよな」

木崎も冷静に賛同する。何この言われよう。

「バカにしていますね?」

「「「「いいや」」」」

「……」

「つまり、ちゃんと最前線に出れるやつだったってことだ。その役割は必要だろう?」

木崎はいたって真面目に真顔だった。葉瑠は、唇を尖らせる。

「それなら、最初からそういう風に言ってよ」



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