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さくら

第8章 瞳



 隣を歩くマダラ様はどこか機嫌が悪そう。

 だってこんな多くの人に見られるなんて、この人は嫌だっていつも顔をしかめているから。

 眉間に皺が寄ってるけど、目は優しさがあるようだから、普段より機嫌の悪さが緩いのかもしれない。

 それにさっきから握っている手がすごく優しくて暖かい。

 なんだか微笑ましくて、自然と顔が緩んでしまう。

 幸せも、喜びも、すべての感情がこの人によって左右されてしまうことが、本当に尊いと思う。

 空を見上げれば木ノ葉を照らす日差しが眩しい。


 ヒカクさん、見ていますか?

 本当はあなたにも私の晴れ舞台を見てほしかったです。

 あなたがいてくれたから、あの暗闇でも生きる事が出来ていました。

 あなたがくれた目のお陰で、辛いことも、悲しいことも、幸せなことも、嬉しいことも、全部見る事が出来ました。

 後悔しない道を歩む事が出来ました。



雪華「・・・ありがとうございます…」



 目を伏せればそう伝えれば、笑って『おめでとう』と言ってくれてるような気がした。



マダラ「ん?何か言ったか」



雪華「…いいえ。…ぁ、柱間さんまた泣いていらっしゃいますよ。

 本当に泣き虫なんだから」



 まっすぐ道の先には火影屋敷の前で、立派な仁王立ちをして涙を流す柱間さんと、その隣で珍しく笑っている扉間がいる。



マダラ「お前が言うか?」



雪華「あ、からかわないでください。もう泣きません!」



マダラ「…そうだな」



雪華「(あ、笑った…)」


 なんとも言い表せないマダラ様の笑顔、心がぎゅっとなって、愛おしさが募って、繋ぐ手に力がこもる。



マダラ「…ありがとう」



雪華「何か言いましたか?」



マダラ「今日の夜が楽しみだ、と言ったんだ」



雪華「ま、///~!!」



 ヒカクさん、今日私はマダラ様の…
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