第5章 体育教師 冨岡義勇
「ここか…」
職員更衣室というプレートを見つけて、私はその前に立った。
電気はついているようで、誰かがいるのは間違いない。
今使っているのは冨岡しかいない、という宇髄先生の言葉を思い出し、私は扉を開けた。
「冨岡先生〜…あれ、いない?」
更衣室の中には誰もいなくて、少し腰かける用のベンチと、大きめのロッカーが並んでいるだけだった。
わたしはその内のひとつに手をかけて開いてみる。
「え?冨岡先生?」
すると、冨岡先生が真顔でロッカーの中に入っていた。
意外な人物が大人二人が折り重なってようやく入れるくらいのロッカーに入っている。
「…どうしてここにいる、沙織」